今、明かされたおじいちゃんの真実。

おじいちゃんとの記憶が私の中にはない。

それどころか、ここに来た記憶もない。

なのに、おじいちゃんもおばあちゃんも私の事を好きでいてくれていた。

私はずっといらない子、
必要のない子、
愛がもらえない子、ってずっと思ってた。

でも、ここに2人も私を好きでいてくれる人がいる。

なんて、嬉しいことだろう。

そう思うと涙が止まらない。

「祈、人ってなんで生まれて頑張って生きると思う?」

おばあちゃんがいきなりそんな事を聞いた。

そんなの急に聞かれても分からない。

「え…生きなきゃ産んでくれた親に申し訳ないから…?」

私の回答。
でもこれはきっと間違ってる。
…だって、私は親に『生きてほしい』なんて思われてなんかないから…。

「それもあるかもしれないねぇ。」

『それも』ってじゃあ答えはいくつもあるの?
分からなくなってきた。

「人が生きる理由はねぇ、"誰かを愛したい、誰かのために何かをしたい、何かをやりたい″って思う人間の勝手な気持ちなんだよ。もし今、この世に生きている人で、『死にたい』とか『生きたくない』とか思ってる人は、間違い。自分が生きてるかぎり、『なにか』を求めて、生きてるんだから。」

「え、」

「そのためなら、もがいたっていい、弱音を吐いったていい、…でもその代わりその倍頑張らなくちゃ。祈も頑張るんよ?そのためなら、おばあちゃんはなんだってするから…!」

そう言って、おばあちゃんは買い物に行った。

生きている意味。
私が生きている意味…?
誰かを愛したい、誰かのために何かをしたい、何かをやりたい、それが生きている理由?
じゃあ、私も何かにもがいて生きていいの?
幸せを感じていいの?
人生、なにかに求めて生きていいの?
そのためなら、弱音吐いていいの?
私にも『未来』信じていいの?

分からない。

でもさっきのおばあちゃんの言葉、胸に染みて涙が止まらない。

私は決めた。
……もう一度、未来という名の希望を信じてみる。ことにする。