「あんねぇ、おじいちゃんは本当に昔から祈が大好きで、ここに遊びにきたときは本当に喜んでいたんよぉ。」

「おじいちゃんが?…でも私、おじいちゃんとの記憶が、無い…。」

おじいちゃんとの記憶が全くない。
なんで…?

「そうかねぇ、祈は小ちゃかったもんねぇ。」

「そう…なん…だ…。」

そんな昔に…。
全く覚えてないよ…。

「じゃあここから、本編に入るね。おじいちゃんはねぇ、チョコレートアレルギーだったんよ、でも、小さい頃の祈がおじいちゃんにチョコレートを食べさして、おじいちゃん命を落としかけたんよ、それからおじいちゃんは祈を拒むようになったんよ…」

え、私が…?
私のせいだ。
きっとおばあちゃんもお父さんもお母さんも苦しんだのに…。

「…さい。ごめんなさい、私のせいでおばあちゃんに悲しい思いをさせてしまった。私なんて生まれてくる価値もないのに…でも私のせいでみんなが悲しんだ。ごめんなさい。」

本当にごめんなさい。
許してくれるなんて、思ってない。

「祈、それは違うよ。」

「え…?」

違う?
何が?何が違うの?

「確かにおじいちゃんは祈を拒むようになった。」

----ズキッ

「でも、おじいちゃんが死ぬ前に最後に言った言葉、なんだと思う?」

最後に言った言葉…?

「…何…?」

おばあちゃんはフワッっといつもとは違う優しい笑顔で言った。

「"祈に、もっと『愛』をあげれば良かったわい、わしは祈が大好きじゃ。さようなら"だとさ。」

「え…私の事が…好き…?」

嘘でしょ…?
おじいちゃんが?

「本当よ。」

笑うおばあちゃん。

私は少しおじいちゃんのことが気になる。