お母さんは泣いた。
声が枯れるまで泣いた。
でも涙は無くならなかった。

それでもお母さんは私を産んでくれた。

優しかったお母さん、でも私が高校に入ってから冷たくなった。

「今はお母さんの所に来ないで。」
「ちょっと喋らないで。」
「こっち見ないで。」

怖かった、でも私はそれを『愛』と感じていた。

でもこれは遠回しの口の虐待みたいなものだった。

ある日のことだった。

家にお父さんが来た。

「ただいま、母さん…。」

お母さんはすごくびっくりでは表せれないぐらいビックリしていた。

「何しに来たの!?早く帰って!」

お母さんは必死だった。

「ごめんなぁ、辛い思いさせただろう…。母さん…子供の名前は…?」

「そんなの言うわけないじゃない!早く帰って!」

そしてお母さんはドアを閉めてお父さんを追い出した。

お母さんは泣いていた。

私が見ていないところで泣いていた。

「お母さん…。」

「祈…今は自分の部屋にいなさい…。」

「うん…。」

お母さんはこう言って私を部屋に入れた。

きっと泣き顔を見られたくなかったんだろう。

この時私はお父さんが大嫌いになった。