顔を枕に埋めて布団にくるまり、目を閉じてまるまって七都は泣いていた。聖羅はそっと、七都の髪をやさしく撫でた。

「……聖羅?」

 涙で濡れた大きな目で、七都が驚いたように聖羅を見上げていた。

 その瞳を見た聖羅の胸に、罪悪感がこみ上げる。と同時に、母性にも似た愛情も。七都を愛おしく思い、まもりたいと願う衝動。けれど彼女から幸福を奪ったのは誰だ。なんて勝手なことだろう。

「一緒に眠ってあげるわ、七都」

 やさしい声で聖羅が囁き、布団を捲って七都のとなりに潜り込むと、両手で七都を抱きしめた。

 とんだ欺瞞だ。そう嘲笑う声が心の中になくはない。けれど今はそれを聞かずにおこうと思った。

 ──現象として。

 そう、ただこの世界に起こりうる現象のうちのひとつとして、今はただ、この子をひとり、泣かせておきたくないと思う。だから抱きしめたいと。それだけだ。

「七都」

 もう一度名を呼び、抱きしめた腕に力を込めた。

「聖羅……」

 七都が、聖羅にしがみついて泣き出した。

「わたしがそばにいるわ、七都」

 やさしくささやき、そっとそっと、その頭を撫でる。

 この胸の痛みは、罪の意識などではあり得ない。そう、心の中で繰り返しながら。