それは久しぶりの戦だった。

 そのせいか長い時間は掛からずに、どちらかが決定的な勝利を収めることもなく、終息に向かった。

 そして第七都では、ちょっとした騒ぎになっていた。

 赤将軍が、魔女ではなかった、そのことに関して、さまざまな憶測が飛び交っている。

 七都は魔女のことなど考えたくもなかったので、その騒ぎを遠くから眺めているだけで、全く話に入ろうとはしなかった。

 母を殺した魔女のことは考えたくなかったが、ただあのときの、新しい赤将軍のことが頭から離れなかった。何故それほど気にかかるのかはわからない。やはり母の仇である赤将軍、というそのことだけで、心に引っかかるのだろうか。

「七都、赤将軍が魔女じゃなくなったら、おまえ凛々子の仇が討てなくなっちまうな……」

 レジスタンスによく出入りしている、恰幅のいい温厚そうな中年の男が、気の毒そうに七都に言った。

「……あたし、おかあさんの仇なんて討たないからどうでもいいよ」

「どうでもいいってことないだろ、おまえかあちゃんのこと好きだろうが」

「それを言ったらおじさんの方が残念だったでしょ、おかあさんはあたしより第七都の人たちの方が大事だったみたいだから、きっとあたしよりおじさんの方が今悔しいだろうと思うわ。あたしはどうでもいい、おかあさんの敵討ちならレジスタンスの人たちでやって」

 七都はそう言って、ぷいと横を向いた。

「おいおい七都、そんなわけないだろう、凛々子はいつでもおまえのこと心配してたぞ」

「ふうん」

 七都はどうでもいいような返事をした。

「ほんとうだぞ?」

「別にいい、ほんとうでもうそでも……。もういないもの、本人に聞けないからどうせずっとわからないままよ」

 普段は活発でわりあい素直な七都なのだけれど、殊母凛々子のことに関してだけは、へそ曲がりであまのじゃくな態度になるのだった。全く素直になどなれない。

「ほんとうにそんなことはなかったんだぞ、七都……」

 男は、心配と困惑が綯い交ぜになったような顔をして去っていった。