そのときだった。声が上がり、ひとかたまりにもつれて混戦状態にあった、その戦場が、突如左右にぱっと開けた。まるで海が割れるかのように。
その中から姿を現したのは、深紅の軍服を纏った、まだ年若い男だった。少年、といった方がいいような。
巧みに手綱を捌き、馬上から剣を振るう。剣の軌跡は正確で、鋭い。何もかもが他の誰もと違って、際立っていた。
「赤将軍……?」
戦について詳しくはない七都も、その軍服と風貌とで、そうとわかった。
けれど母の仇であるはずの赤将軍は、少女だったと聞いていた。
第一都赤将軍、通称、赤い翼の魔女。非常に冷酷かつ有能で、剣の腕も立ち強かったが、戦場には数度しか、姿を現さなかった。常に全身を覆い隠すような衣をつけ、顔はベールで隠されていた。その正体を知るものは、敵味方共に殆どなく、ただ年若い娘であったということが、一度魔女と剣を交えたことがある、凛々子から語られていた。
「どうして、魔女じゃないの……!?」
思わず叫び、立ち止まってその姿を凝視した、その間に逃げ遅れた。
我に返ればその赤将軍が、剣を振り下ろしながら馬を走らせる、その軌跡の先に七都はいたのだった。
赤将軍が剣をたった一凪する、それだけでそこに道が開く。その剣は鋭く、狙いを決して外さない。けれど七都の心に、不思議と恐怖がなかった。
「七都!」
遠くどこかで誰かが叫んでいた。
赤将軍の進むその線上に、七都は立っていた。突風が七都の髪を巻き上げる。危機は迫っていた、けれどどうしてだか、七都はそこから逃げ出す気にならない。
これが第一都の将軍。
これが、今自分が、そして第七都の人々が抱える悲しみの、その根源を作り出すものか。
その中から姿を現したのは、深紅の軍服を纏った、まだ年若い男だった。少年、といった方がいいような。
巧みに手綱を捌き、馬上から剣を振るう。剣の軌跡は正確で、鋭い。何もかもが他の誰もと違って、際立っていた。
「赤将軍……?」
戦について詳しくはない七都も、その軍服と風貌とで、そうとわかった。
けれど母の仇であるはずの赤将軍は、少女だったと聞いていた。
第一都赤将軍、通称、赤い翼の魔女。非常に冷酷かつ有能で、剣の腕も立ち強かったが、戦場には数度しか、姿を現さなかった。常に全身を覆い隠すような衣をつけ、顔はベールで隠されていた。その正体を知るものは、敵味方共に殆どなく、ただ年若い娘であったということが、一度魔女と剣を交えたことがある、凛々子から語られていた。
「どうして、魔女じゃないの……!?」
思わず叫び、立ち止まってその姿を凝視した、その間に逃げ遅れた。
我に返ればその赤将軍が、剣を振り下ろしながら馬を走らせる、その軌跡の先に七都はいたのだった。
赤将軍が剣をたった一凪する、それだけでそこに道が開く。その剣は鋭く、狙いを決して外さない。けれど七都の心に、不思議と恐怖がなかった。
「七都!」
遠くどこかで誰かが叫んでいた。
赤将軍の進むその線上に、七都は立っていた。突風が七都の髪を巻き上げる。危機は迫っていた、けれどどうしてだか、七都はそこから逃げ出す気にならない。
これが第一都の将軍。
これが、今自分が、そして第七都の人々が抱える悲しみの、その根源を作り出すものか。
