洗濯物を干すための竿は、成長途中の七都にとってはまだ多少高いらしく、濡れた服を持ったまま、一生懸命背伸びをしている。

「七都、あとはだいじょうぶよ、どうもありがとう」

「そう?」

 そう言われて、七都はたらいの上に、抱えていた洗濯物を乗せた。そうして去ろうとする七都を、百合子は思わず呼び止めていた。

「七都」

 七都が首を傾げてふり向いた。

「……七都はどうしてレジスタンスへ行くの?」

「えっ?」

「もしもまた、戦が起こったなら、七都はどうするの」

「……あたし?」

「七都のおかあさんみたいに、剣を持って戦うの?」

 百合子の問いに、七都は少し驚いたようだった。

 ふたりのあいだを、夏の朝の風が抜けていった。七都の着た服の長い裾が、重たげに風に揺らぐ。

「あたしが?」

 そのようなこと考えてもいなかった、というふうな七都の反応に、百合子は少しだけ安堵した。

「……いいえ、そんなことあるわけないわね、七都は剣を持ったこともない、普通の女の子だものね」

「うん……」

 百合子の言葉に、七都が曖昧にうなずいた。

「ひきとめてごめんなさいね。手伝ってくれてありがとう」

「ううん、じゃあね、百合子」

 ぱたぱたと走り去ってゆく七都を、百合子は湿った修道服を手に見送った。