「群青、レジスタンスのひとたちと知り合い? 英凛々子って知ってる?」
群青は金の髪を揺らして、うなずいた。
「見たときに、すぐに気付いた。凛々子に似てるって」
「……あたしとおかあさん、似てる?」
「とてもよく似てるよ」
似てる、と言われ、七都はちょっと複雑な顔をした。うれしいような、けれどそれを否定したいかのような。微妙な表情だった。
「レジスタンスに関わったことがある人間で、凛々子を知らないひとはいないよ」
「そう……」
群青がかすかに遠い目をした。それはごく近しい、けれどもうそこにはいない人を思い出すときに、よくひとがするような、そんな遠さで。
「おかあさんのこと、よく知っていたの?」
「どうかな……多分、知っていたかな、けれどきっと七都が知っているような凛々子のことは、僕は知らないと思うよ」
凛々子、とその名前を口にするときに、群青はとても優しい表情になる。母が大切にされていたのだ、と七都は思い、それと同時に、自分の知らない場所で、自分の知らないことをしていた、その母のことを娘である自分ではない、別の人間が知っている、ということに、ひっかかりを覚えずにはいられない。
「じゃあ、群青の知っているおかあさんて、どんなふうだったの」
そう問うと、群青は少し考えるような顔をした。
「……そうだね、勝利の女神と呼ばれてた。その名の通り、彼女がいたから、第七都のこの寄せ集めの戦力で、第一都正規軍と対等に渡り合えたのかも知れない。第七都と、レジスタンスにとって、かけがえのない存在だった」
群青は金の髪を揺らして、うなずいた。
「見たときに、すぐに気付いた。凛々子に似てるって」
「……あたしとおかあさん、似てる?」
「とてもよく似てるよ」
似てる、と言われ、七都はちょっと複雑な顔をした。うれしいような、けれどそれを否定したいかのような。微妙な表情だった。
「レジスタンスに関わったことがある人間で、凛々子を知らないひとはいないよ」
「そう……」
群青がかすかに遠い目をした。それはごく近しい、けれどもうそこにはいない人を思い出すときに、よくひとがするような、そんな遠さで。
「おかあさんのこと、よく知っていたの?」
「どうかな……多分、知っていたかな、けれどきっと七都が知っているような凛々子のことは、僕は知らないと思うよ」
凛々子、とその名前を口にするときに、群青はとても優しい表情になる。母が大切にされていたのだ、と七都は思い、それと同時に、自分の知らない場所で、自分の知らないことをしていた、その母のことを娘である自分ではない、別の人間が知っている、ということに、ひっかかりを覚えずにはいられない。
「じゃあ、群青の知っているおかあさんて、どんなふうだったの」
そう問うと、群青は少し考えるような顔をした。
「……そうだね、勝利の女神と呼ばれてた。その名の通り、彼女がいたから、第七都のこの寄せ集めの戦力で、第一都正規軍と対等に渡り合えたのかも知れない。第七都と、レジスタンスにとって、かけがえのない存在だった」
