ある日の久しぶりのデート。
やっぱり琴音さんはどこかそっけなく、楽しそうではなくて。
時間が過ぎるごとに、俺といても楽しませてあげられない、と罪悪感さえ感じてきてしまった。
俺さえ諦められれば、琴音さんは他の男と幸せになれる可能性だって十分あるのに、と。
でもせめてこの時間だけでも琴音さんのそばにいさせてほしいと、その罪悪感には気付かないふりをして、いつだったか琴音さんの口から“プラネタリウム”という言葉が出たのを思い出して、少し無理矢理だったけど琴音さんを誘って星を観に行くことにした。
星に願いを、なんて女々しいけど、流れ星でも観ることができれば何かが変わるんじゃないかと思ったんだ。
そこで全く想像していなかったことが起きた。
空いっぱいの無数の星を観た琴音さんが前と同じように喜んで、感動してくれた。
辺りは暗くてその表情を見ることはできなかったけど、久しぶりの明るい声色に俺の心がすぅっと晴れていく気がした。
そして、ポツリと溢れた琴音さんの本音。
「悩みがある」という言葉に俺とのことだろうかと嫌な予感がしたけど……、そうだとしても、一人で結論を出すのではなくて俺に話して欲しいと思った。
だから、「誰かに頼ったり相談すればいい」と琴音さんを促した。
……さすがに「俺に相談してほしい」とは言う勇気はなかったけど。
「……そのことが、誰かに迷惑をかけることになったとしても、ですか?」
「…………琴音さんがそう思ってるだけで、実は迷惑じゃないかもしれませんよ?」
「……自信、ないです。……怖いんです。嫌われるのが」
……それ以上は言ってくれなかった。
琴音さんの言う“誰か”というのが俺だったらいいのにと心底思ったけど……この状況では俺ではないことは明らかだった。
別の誰かが琴音さんの中にいる。
……やっぱり俺は琴音さんのそばにいる権利はないらしい。

