どうしよう、と目に涙が浮かびそうになった時。


「……くくっ、そんなに不安そうな顔しなくても、ちゃんとわかってますから大丈夫ですよ?一緒に生活するのは、本当に琴音さんが準備ができてからで構いません。逃げられないように先手を打っただけで気は長い方ですから、ゆっくり行きましょう」

「……惣介さん……っ」

「でも……その分、今から頑張ってくださいね?」

「えっ!?」

「当たり前でしょう?まだ暫くは平日は会えないんですから。休みの間に充電はたっぷりしておかないと。ね?」

「……っ、あ……っ!」


私の身体に優しく降り注ぎはじめるキスの雨。

柔らかくて、熱くて、時々意地悪で。

バレンタインデーという日だからか、それはいつも以上に甘くとろけるように感じた。


……そして。その言葉通り、惣介さんはまったりと時間をかけて充電したようで、それはそれは満足そうな幸せそうな笑顔を見せてくれた。

それに対して私は……何度意識を飛ばしそうになったかわからないくらい翻弄されまくって、充電どころかへろへろになってしまっていた……。




……1ヶ月後。

惣介さんは私を大号泣させるようなプレゼントを用意してくれていた。……それはまた、別のお話。

そして、私がやっと泣き止んだ頃。

バレンタインデーのお返しだと言って、私は用意しておいた飴の詰め合わせを惣介さんに渡した。

惣介さんは「俺は何もあげてないのに……」と首を傾げながらも、嬉しそうに受け取ってくれた。

































その箱の蓋の裏には……

『一緒に生活しましょう。』

と書いておいた。



*おわり*