軽々とお姫さま抱っこをされたことに気付いた私は、さらに慌てた。


「おっ、降ろしてくださいっ!重いでしょう!?」

「嫌です。いやーなかなか楽しいものなんですね、お姫さま抱っこって。琴音さんの全てが俺の腕の中にあるなんて、癖になりそうです」

「はいっ!?」


ふんふんと楽しそうに鼻歌を歌いながら、惣介さんが向かうのは明らかにベッドルームで。

まだその場所に慣れない私はあわわわと焦ることしかできない。

ていうか、待って!

これ、“すぐに一緒に生活する”って答えたことになってる……!?

それはさすがにまだ無理……!

慌てて私は口を開く。


「そっ、惣介さんっ」

「何ですか?」

「あのっ、一緒にはいたいですけど、すぐに一緒に生活するというのはまだ……ひぁ!」


完全に言い終わっていないのに、ぽすんっとベッドの上に身体を降ろされてしまって、言葉を止めてしまった。

もちろん、目の前に見えるのは、惣介さんだけ。

唇に綺麗な弧が描かれる。


「……これから一生、琴音さんを大切にします」

「っ!」


や、やっぱり伝わってない……!

惣介さんの言葉はすっごく嬉しいけど!

でも!まだ、一緒に住むのは心の準備が……!