惣介さんは腕時計の金具を開け、左腕にはめて、かちゃりと金具を止める。
その仕草はすごくスマートで大人の男って感じですごくカッコ良くて……ドキドキと鼓動が速くなっていくのを感じる。
腕時計を目の前に掲げて、惣介さんは満足そうに笑った。
「……うん。ピッタリです」
「あ、それは良かったです!」
「いや、でも。サイズ、よくわかりましたねぇ」
「あははっ、ま、まぁ」
実はバレないように寝ている惣介さんの手首の太さを自分の手で測っていたんだ。
ちゃんと測ったわけじゃなかったから少し不安だったけど、ピッタリで良かった……。
今日までずっとくすぶっていた不安は全部どこかに行ってしまって、私はやっとホッとできた。
「これを着けていれば、いつでも琴音さんのことを感じることができるんですね」
「……そ、そうですか、ね」
何だか照れ臭くてえへらと笑ってしまう。
「……でも」
「え?」
「まだ足りません」
「……えっ?」
「欲張りなんです。俺」
「な、何ですか、それ?」
私の戸惑いに、惣介さんはくすりと笑った。
「……目、閉じてもらえますか?」
「えっ!?」
「安心してください。変なことはしませんから」
「いや、そういう意味じゃなくて……っ」
「……じゃあ、お願いします」
「……は、はい……。」
私は何が起こるんだろうと不安に思いながら、ゆっくりと目を閉じる。
もしかしてキス……されるのかな、なんて思っちゃう私は、やっぱりがっついているのかもしれない。

