不安になってしまった私は咄嗟に謝る。
「……ご、ごめんなさい。迷惑、でしたか?」
「…………迷、惑……?まっ、まさか!!!そんなわけありません!!すっっっごく、すっっっごく嬉しいです!!!」
「えっ!?」
「嬉しすぎて固まってました!!」
「っ!」
ついさっきまでの反応の鈍い惣介さんからは考えられないくらいの満面の笑みと身体を上下に揺らすことで、喜びを伝えてきてくれる。
そして、私の差し出した紙袋に触れそうな位置に両手をかざし、まるで壊れ物を触る直前のようにぷるぷると手を震わせている。
「……琴音さん!」
「へ?」
「ほ、本当に、もももらっても、いいんですよねっ!?」
「もももちろん、です!」
惣介さんにつられて、つい私までどもってしまう。
「で、では……ありがたくいただきます……!」
「ど、どうぞ……っ」
「……バレンタインデーに好きな人からプレゼントを貰えるのは、一生、男の夢ですから。本当に嬉しいです!ありがとうございます、琴音さん」
「……いえ」
ペコリと丁寧に一礼して、惣介さんの手が私の手から紙袋をそっと持ち上げる。
それと同時に、惣介さんはまるで宝物を手に入れたみたいに嬉しそうな表情を浮かべてくれて……素直にすごく嬉しかった。
喜んでもらえた。
……とは言っても、まだ惣介さんはその中身を知らない。
知った時、どんな反応をするんだろうか。
そこが一番の問題だ。

