私は気合いを入れて、ばっと惣介さんに向けて、それを差し出す。
それは、うるさすぎない赤いリボンがくっついている、シンプルなエナメルコーティングされた白い紙袋。
「!」
「さっきの考えごとは……これをいつ渡そうかってことだったんです……」
「……え?」
「……今日誘った時点でバレバレだったと思うんですけど……今日はバレンタインデー、ですので……」
「……」
「……これ、受け取ってもらえますか?」
私は惣介さんの顔を見れずに、紙袋を見つめたまま恐る恐る尋ね、答えを待つ。
……でも。
「……」
「……?」
暫く待っていても、惣介さんからは何も言葉が出ない。
どうしたんだろう?と、私は紙袋から惣介さんに向けて視線を上げると、そこには私が差し出した紙袋を見つめたまま固まってしまっている惣介さんの姿があった。
……か、固まってる?
私は片手を紙袋から外し、惣介さんの目の前で手を上下に振る。
惣介さんの身体がビクッと反応して、私に目線を移した。
「そ、惣介さん?大丈夫ですか?」
「えっ?あ、はいっ。琴音さん……」
返事はしてくれたものの、やっぱり惣介さんの反応が鈍くて、私は首を傾げてしまう。
……もしかして、プレゼントなんて迷惑だった?
バレンタインデーで浮かれてる私に呆れてる?

