彼氏は11才!?

「どうしたの?」


尋ねながら紅ちゃんの視線の先を辿って私は絶句した。


紅ちゃんが見つめているのは狼の檻。


そしてその檻の中で雄狼が雌狼の背に前足を乗せ、背後からバコバコと腰を振っていたのだ。


そう、正に交尾の真っ最中。




「パパぁー、狼さん何やってるのー?」

「生命の営みだ」


無邪気な子供の問掛けに冷静に答える父親を横に、私は紅ちゃんの顔面を叩くように手の平で覆った。



「見ちゃいけません!!」



紅ちゃんにそんなことを言っている私はしっかりと一心不乱に腰を振る狼を見ている。



「何でだ?交尾は生物の繁栄だろう?」

「紅ちゃんにはまだ早い!!」

「保健の授業でやったぞ。それに、正宗の部屋にはもっと生々しいのがあった」

「エロ本を見たの!?」

「いや。DVDだ」

「AVかい!!」



あのクソ野郎…子供に何てものを!!
帰ったら吊してやる!!

子供にAV見せたら強制猥褻罪で捕まるんだぞ。
また新聞に載るじゃないか。(第3話参照)



「とにかく移動!!次行こう!!次ッ!!」


紅ちゃんの目を手の平で塞いだまま、小さな体を引きずりながら私は狼の檻の前から離れた。