彼氏は11才!?

「中へどうぞー!」


鼻にかかった金高い女性の声と共に門が開いた。



ゴゴゴ…と門が開き、動物園独特の鼻を刺す臭いが充満する。



「臭いな…」

「そりゃ動物さん達も生き物だからね。毎日元気よく排便してるよ」


更に夏の蒸し暑さと湿気で臭いは倍増。

この臭いばかりは慣れてもらうしかない。



臭いに耐えながらゲートでチケットを渡し、半券を手にようやく園内へ。




「結構、広いな」


目の前に広がる広大な園内。


この動物園の総面積は約60ヘクタール。
約600種類、1万8000匹を飼育している巨大動物園だ。

日本でこの動物園でしか飼育していない珍獣も居るらしい。



「まずは何から見よっか」

「あそこに何か居る」


紅ちゃんが指差した先には既に大勢の人間が固まっていた。

やはり日曜日。
予想と覚悟はしていたが、やはり人が多い。



人混みの隙間を縫い、どうにか檻の前へと出ると、そこには白黒の鼻の長い豚のような動物がちょこちょこと歩いていた。


「あっ。マレーバクだ。可愛いよねぇ」

「白雪は動物に詳しいのか?」

「小さい頃、図鑑ばっかり読んでたから」