彼氏は11才!?

あの人の分類を人間にしていいのだろうか疑問だが、母さんは私達を虎から守る為に戦ってくれたのだ。

もし、『人間』という分類から除外されてしまったら『母親』という分類を新たに作ってあげよう。

きっと伝説とかになるよ。



「純子さんは立派な母親だな。きっと白雪も純子さんのようになる」

「えー…母さんみたいにはなりたくないよ」

「僕はなって欲しい。そうすれば子供は幸せだ。命懸けで守ってくれる親の背は愛情そのものだからな」



愛されていることを感じられれば一番幸せだ、と紅ちゃんは続けた。

たった11歳でそんなことを言ってしまう紅ちゃんが無性に悲しかった。
同時にそんなことを言わせてしまう今までの紅ちゃんの環境を憎く感じる。


だが、いくら私がイラ立っても何にもならない。

何もかもが手遅れで、私は無知なのだから。

過去に手を伸ばすなんてことは誰にも出来やしない。



「どうした?腹でも痛いのか」

「別にぃ」



手を伸ばし、紅ちゃんの頭を撫でる。

指に絡む細い髪は柔かくて気持いい。
子供特有の毛質の良さに思わず顔が緩んでしまった。
私は紅ちゃんの子供らしさを探すのが好きなんだと思う。