彼氏は11才!?

何だろう…この胸の高鳴りは。

まさかの恋か…?


そう思った瞬間。



「ぶふおぉぉぉぉん!!」


いきなり凄まじい勢いで泣き出し、倒れるようにトイレの床にうつ伏せになるエミリオ先生。

私は完全に引いた。

いくら綺麗に磨かれた大理石の床とはいえ、こんなに全身全霊でトイレの床に這いつくばる者など見たこと無かったし、出来れば一生見たく無かった。


「何コイツ…幻弥に出会った時みたいなイラつきが五感を支配してるんだけど」


さっきの熱いトキメキもどこへやら、完全に私の心は冷たくなっていた。
クマムシをも凍死させられそうな温度だ。


ちなみにクマムシとは仮死状態になることにより、150度の高熱にも絶対零度(−273度)にも、真空や乾燥は無論のこと6000気圧もの高圧や放射線にも耐えることが出来る上に代謝率を異常なまでに抑制し、100年は生き続けることが出来る恐ろしき微生物のことである。




「うぅ…っ、僕はダメな男なんです…ッ」


トイレの床に這いつくばって泣くような男はダメだろうよ。

いくら顔が良くてもダメだ。



「な、何があったんですか…?」


引きながらも相談に乗ろうとする正宗は偉いと思う。