松や椿、桜など手入れの行き届いた木が並び、大きな池には高そうな色とりどりの鯉達が優雅に泳いでいた。
「貧乏人丸出しの顔してないでさっさと行くわよ」
キョロキョロしながら玄関まで続く石畳を進む私。
やはり玄関もデカイ。
私の部屋くらいあるんじゃなかろうか。
「あらあら、遅かったわね。純子さん」
着物を着た黒髪の女性が出迎えてくれた。
「お久しぶりですね、知子さん。相変わらずの厚化粧だこと」
ピシリ、と知子さんを纏う空気にヒビが入る音が聞こえた気がする。
「ふふふ。貴女こそ相変わらずハゲた猿と一緒なのね」
「貴女の浮気ばかりする夫よりはマシですよ。4人もの愛人がいるんですってね?あ、ごめんなさい。昔の話だから今はもっと多いわよね」
うふふ、と少女のような笑みを浮かべながら毒を吐く母さん。
知子さんの顔が引きつっている。
母さんは腕っぷしも強いが口喧嘩も強い。
確実に自分が悪いはずなのに口先だけで正当化し、逆に相手に謝らせてしまうほどだ。
だから我が家で母に逆らう者は居ない。
なぜなら勝てないから。
「ちょっとー。その人達、誰なの?」
