股間から取り出されたどこか切なげな野口英世を、爽やかな笑顔で正宗に差し出す幻弥。
正宗の顔が哀れなほどに引きつった。
「そんな1000円札なんて触りたくねぇよ!!」
「心配するな。水着に縫い付けた内ポケットに入れておいたんだ。直に入れていたワケでは無いよ」
胸を張られても股間から取り出さした時点でアウトだということに気付け。
「ちなみに内ポケットを縫い付けたのは私です」
乃薔薇ちゃんの優しさの方向性は激しく間違っている。
思考回路自体が間違っているから仕方が無いのだが。
「もういい!!俺が金を払う!!」
とうとう正宗が切れたとほぼ同時に事件は起こった。
「おい!!誰か警察を呼べ」
「あっちの崖で投身自殺しようとしてる奴が居るぞ!!」
どこからともなく響き渡った声に周囲がにわかに騒がしくなる。
「自殺!?」
「マジかよ…っ」
アイスどころではなくなり、私達は崖の方へと駆けて行く大人達を目を追った。
「ちょっと待てよ…自殺なんてされたら警察やら何やらが来てダイナソー半田のイベントが中止になるんじゃねぇのか…?」
