あまりの動揺に、 僕は自分の軽薄な早計さと その後の楓の言葉に ちっとも気がついていなかった。 さーーっと頭のてっぺんから血が降りて行くかのような感覚に 頭が内側から圧迫されるかのような苦しさと 現実逃避をしたいがために、 慌てて扉から後ずさると、 すぐ脇の階段を駆け下りて、 大嫌いな晟の部屋をノックした。