「ほら」 その声と同時に差し出されたのはマグカップ。 マグカップはあたしの顔の真横を通り過ぎ、こたつの上へと置かれた。 あたしは無言でその動作を見送り、そして顔を上げる。 「ありがと」 「いえいえー」 マグカップに注がれていたのは白い湯気をモクモクさせているココア。 あたし専用のピンク色のマグカップに注がれている。 彼はあたしと向かい合わせになるようにこたつへと座った。