「「お嬢っ!!」」

「…あ?」

周りの視線に完全に不機嫌になったあたしは、声のする方を睨みつけた。

そこにはさっきからメールと電話が凄かった2人の付き人が半分怒りの表情で教室のドアの前に立っていた。

男は金髪でサラスト。金髪なのに一見爽やかに見えるから不思議なもんだ。女は黒髪でショートヘアで黒縁メガネ。真面目そうな顔してるから時々ムカつくんだよなぁ。

「んだよ、蒼真と奈桜美か」

てか、2人があたしをお嬢って呼ぶなよ、気持ち悪ぃ。

…あ、ここ外か。

2人が外だと仕事モードだったの忘れてたわ。

「お嬢、勘弁してください。メールにも電話にも出ないで。僕たちは親父に貴女を頼まれてるんですから」

「そうですよ、お嬢?お嬢の身に何かあったら私たち、タダじゃ済まないんですよ?」

確かに。小さい頃から2人はあたしの付き人。

父さんも2人には絶対的信用してるし、2人が何かやらかしたらまぁ…タダじゃ済まねぇわ。

あたしも、しょっちゅう怖いって言われるけど…父さんの方が怖いっつーの。

「あー…悪ぃ、悪ぃ」

てか、視線が痛すぎて気持ち悪ぃ。

早く帰るか。

「まぁ、お前らの説教は家に帰ってから聞くわ。帰るぞ」

「「はい」」

「あっ…おい、神崎!!」

びっくりしたぁ…泰賀か。

いきなり叫ぶなっつーの。

てか、すっげぇ怖い形相でこっちに歩いてくんな。

リアルでこえーから。

「お嬢に何か用ですか?」

「私たちを通してください」

あー…お前ら。落ち着けっつーの。

「いや、やめろ、お前ら。そいつはあたしの友人だ」

「え…そうなんですか?」

「あぁ」

「…分かりました」

蒼真はしぶしぶ引き下がった。

奈桜美も泰賀を睨みつけた後、あたしの後ろについた。

「…で?何の用だい、泰賀?」