「…てか、あたし、アンタの名前知らねぇんだけど?」

「あぁ、名乗ってなかったか」

まるで獲物を捕らえるような目を向けるから驚いた。

…すげぇ、コイツ。

今まで色んなトップの奴らを見てきたから分かる。

コイツ、大物だ。

「泰賀 颯斗(たいが はやと)だ。紅蓮の総長。…それは知ってるか」

「あぁ、まぁな」

まぁ、そっちがしたからあたしもするか。

「あたしは神崎 柚菜」

「知ってる」

まぁ、そっか。寝てるフリして聞いてたみたいだし。

「とりあえず、行かねぇ?あたしの付き人達からメールと電話が止まんねぇんだ」

「お、そりゃ悪い事したな」

あたし達は教室に戻った。

周りの視線が痛い。

恐怖、興味、嫉妬…耐え切れねぇんだけど。