女はキョトンとしてる。

あぁ…あたしの顔、超あっちぃ…。

「うん、言ったよ?すっごい美人さんだもん!綺麗な黒髪ロングでキリッとした目、スタイルも良くて…私の理想の美人像そのままだもん!」

「あっ…あたしが美人な訳ねぇだろ…」

「すっげぇ、顔真っ赤だね、アンタ…」

「う、うっせぇ、黙ってろ!」

あたしは2人を睨みつけた。しかし、女と男は気にもしない。

ふと、女が「あ、そうだ!」と言った。

「自己紹介まだだよね?私は松平 寿美礼(まつだいら すみれ)。暴走族“紅蓮”の幹部なんだぁ、よろしくね♪」

紅蓮かぁ…けっこう有名な暴走族だよな。

ここら辺じゃ結構でけぇ暴走族じゃねぇか?

「次は俺。松平 楓(まつだいら かえで)。寿美礼の双子の兄だ。ついでに紅蓮の幹部。よろしくな」

へぇ、双子で幹部なんておもしれぇな。

続けてあたしも自己紹介する。

「あたしは神崎 柚菜。よろしく」

あたしがそう言った瞬間。この2人だけじゃなく、教室全体の気温が下がった。

「え?」「へ?」

「…あ。言っちまった」

あたしは焦る素振りもなくあっけらかんと言った。

「えっと…じゃあ、神崎組の…?」

「頭の娘。しょっちゅう“若姐さん”とか“お嬢”って呼ばれてる」

ええええええええええええええええっっ!!!!??

教室は悲鳴のような叫び声に包まれた。

…言うんじゃなかった。

あたしは本当にこの学校に入学したことに後悔した。