入学式が終わり、各教室へ行く。

席に座ると明るい声で話しかけられた。

茶髪のセミロングに黒のヘアピンをつけたどこにでもいそうな可愛い女子。

一見、普通っぽいけど…。てか、めっちゃ可愛いな…。

「ねぇ、貴女ってどこから来たの!?」

…は?どこからって…。

「コラ、寿美礼。そう言うなら“どこの学校から来たの?”だろ?」

寿美礼と呼ばれた女子の後ろの席の男子が指摘する。

茶髪のくせっ毛に黒のヘアピンをつけた寿美礼って女子に似た男子。

ふーん…双子かな?

「あっ、そうだった!ねぇ、どこの学校から来たの!?」

「永琳中だけど…」

「永琳中…?」

女子は首を傾げる。男子は目を見開いた。

「永琳中って…神崎組で有名な不良校だよな?」

うげっ…なんで知ってんだよ。

…あ、ウチの組って関東一の極道だっけ…?

そりゃ、ちったぁ名は知れてるのか。

「あ、あぁ…まぁな」

「すごいっ!こんな綺麗な美人さんも喧嘩に強いのかな、楓!?」

「初めて見た時、かなりのオーラは感じたし、強いんじゃないか?」

おいおいおいおいおいおい。

永琳中の奴、みんなが喧嘩強いとは言ってねぇぞ。

でも、待て。そこの女。

「お、おい、お前っ…」

「ん?私?」

「あぁ、そうだ。い、今っ…美人っつったか…?」