『気ぃ抜くなよ。死ぬぞ…』
俺が席を立つと同時に、マスターがボソリと呟いた。
そのようなことは、重々承知していた。
剣と剣の間には、命あるのみと…ずっと教えられてきた。
数年前…いやもう十年近くになるが、その時に身体に染みて分かった。
俺達は義のために戦っている。それは人それぞれ違う。
家族のため、誰かを守るため、国のため…そのために戦う。
『戦う意味』
意味でしかない。
剣と剣が触れ合うあの空間に、そんなものを持ち込むのは野暮であろう。
あそこに行けば、誰もが兵士になる。
剣を持てば、その瞬間から…俗世の所属等は消え去り戦う機械になる。