カラン…


大きめのドアを押して、中に入ると酒の入った独特の雰囲気があった。


アルコールの匂いは好きだから、酒場は居心地がいい。


いつも、昼の時間は酒場に来ている。大抵の人が集まっているからだ。


人が集まるところに、必ず仕事もある。


俺の持論だが、傭兵といったら、酒場ぐらいしか思い浮かばない。



『ナディ!』


『リーフ…お前どうしてココに』


そこにはリーフがいた。リーフはこの時間帯は、隣りの酒場で働いているのだ。
この町にはいくつかの小さい酒場が点在しているのだ。


出来るだけ、仕事を探す時はリーフには会わないようにしていたのに。



『お昼ご飯…食べに来たの。うちのマスターが、ココのご飯美味しいって言ってたから…昼休みだし…』


怒ったつもりはないのに、リーフは畏縮してしまっていた。


『…別に怒ってないから、気にすんな。驚いて大きい声だしちまって…悪かったな』


そう言うと、リーフは縦に首を振って俺の元へ走ってきた。


気付いてみれば、店内の人がこっちを凝視していて恥ずかしい。


まぁ、人数は少ないほうだからいいけどな。



『ナディも食べよ』


リーフが子供っぽい笑みで誘って来る。
それと同時に、俺の腕を引いていくから、答えようにも答えられなかった。