遠くなる距離と心




『はぁ・・・10時30分丁度に電話をしてくるのは止めろって言っただろ。』




「あ・・・ごめんね。」




『はぁ・・・』




太地と私はお互い大学生。


高校3年の冬ぐらいに交際を始めた太地と私。


おなじ大学に行こうと頑張ったけれど、太地の頭が良すぎて、太地が行く有名な大学には到底行けそうもなかった。



東京大学に進学した太地と

青森の大学に進学した私



もちろん、遠距離恋愛になるわけで。




不安じゃないといったら、嘘になる。


付き合ってる時も無愛想で冷たい太地


距離が離れることで、太地との心も離れると思ってしまう弱い私。



でも 、大好きな太地の進学を邪魔したくはない。



不安、寂しさ、本当の心・・・


どれも笑顔で隠して行ってらっしゃいと見送った今年の春。




季節は巡り、今は夏。




太地と過せない日々はとても悲しくて。



太地のバイトが終わる時間丁度に、いつも電話してしまって怒られる。




でもね、太地・・・


寂しいんだよ・・・不安なんだよ・・・





少しぐらい、優しくしてよ・・・






・・・なんて




「・・・今度からは、バイトが休みの日にかけるね。」






言うわけないんだけどね。