誠也の恋愛対象にわたしが入っていないのは 重々承知の上。 でもあまりに悲しくて、 思わず口が滑ってしまった。 『紗英?どしたん?』 『どしたん、じゃない。 ずっと好きやった、 好きやのに何で結婚なんかするんよぉ!』 涙流して、何も言わない誠也の腕にしがみついた。 『思い出ちょーだいよ…』 そう呟いたあたしに、 優しい、少し震えた キスをくれた。