ないすとぅみーとぅゆー


その後は体育館で始業式の後、HRで解散だった。こんなものの為に俺は精神力を削られる説教を受けたのかと思うと泣けてくる。全く。せめてあと始業時刻が30分遅ければなー…。

「燐太郎、帰ろう。飯でも食っていくかい?」

肩を叩かれ、振り返ると俊太君がいた。そうだな。昼飯でもくって憂さ晴らしをしよう。それがいい。ストレスは目に見えないものだからね。きっと今の俺やヴぁい。胃がストレスでマッハだ。

「そうだね。行こっか。」

二人並んで坂を下る。我が校は駅から真っ直ぐ伸びる坂道の先にある。緩やかな斜面の脇には桜の木が等間隔に伸びており、もう数日もしない内に薄桃色の花弁が街を彩ることだろう。
俺はこの学校まで約1時間程度電車に揺られ通っている。こんな遠くの学校でなく、けんちゃんと同じ学校に行っていれば、こんなに遅刻することも無かったのかもしれない。ただ、この学校でなければいけない理由が、俺にはあったのだが。

「んー…何を食べようか?ハンバーガーか、ラーメンか…他になにか候補は?」

「あ、う、うん。そうだなぁ、俺はラーメンが食べたい、かな。」

「お、それなら丁度いい。実はこの前新たに発見した凄くわかりにくいところにあるラーメン屋が気になっているんだよ。味は保証できないけどどうだろう?」

「味保証できないのかよ。…まぁいいや、そこへいこう。商店街の方かい?」

「そうそう。結構歩くけどね。何せ分かりにくいから。それじゃそこへいこう。」

サブバックを背負いなおし、駅前の商店街を目指して歩く。他愛ない話をしながら。やれ、あのアイドルが可愛いだとか、昨日のドラマが熱かっただとか、昨日発掘したバンドが新しいだとか。ぺらぺらと。

昼頃に吹く風は暖かく、眠気を誘う。思わず欠伸を噛み殺してしまう。年中このくらいの陽気であれば過ごしやすいんだが、この国には四季があるので、すぐ暑くなり寒くなる。いつもここらを歩いてるノラ猫達も円を作って寝てるじゃないか。もうコンビニから出てきた俺にご飯をたかるなよ。

まぁ、一年通して見ると過ごしやすいから、いい国なんだろう。きっと。