ちっぽけな約束

奥村先輩は誰よりも
私をからかった

今思うと、私が
奥村先輩だけにからかってほしくて
態度にもでていたのかもしれない

そうだとすると私は
もうその頃から
奥村先輩が好きだったんだ

奥村かなた
バイトのシフト変更など
色々と連絡を取り合わないといけないので
私は奥村先輩の電話番号を
そう登録していた
本当は奥村先輩にするか迷ったけど
私の連絡帳にはみんな
フルネームで登録していたので
奥村先輩もそうすることにした

登録していても
かかってくることはほとんどないだろうし

そう思っていたから
あの日、かかってきたときは
照れてるわけでもないのに
驚きと緊張で
顔が真っ赤になったんだ
鏡を見る余裕はなかったけれど
頬が熱をもっている感覚が
その時はすごくわかったの

その電話は、私たちの
秘密の始まりでした