ちっぽけな約束

展開がない恋なんて
ほんとに無駄な時間
奥村先輩はバイトをやめてしまう
それを期に
この気持ちともさよならしよう

そう決断したときには
奥村先輩がやめてしまうまで
一週間をきっていた

「もーすぐだなー、こことおさらば」
「さみしんですかー?」
なんだか奥村先輩は
好んでバイトをやめるわけじゃなさそうで
月末に近づくにつれて
さみしそうな顔をするようになった

「ん、さみしい」
ふいに先輩が真剣な顔をして言った
「まだここにいましょうよ」
ついでてしまいそうになった言葉
私はぐっと飲み込んだ
きっと先輩だってここで働いていたい
でも何か理由があるんだろうし、
軽々と言っても
よけいさみしくさせるだけ



「佐奈がいるからな」