「てめぇら、こいつは俺の女じゃねぇ。
勝手にコイツが来たんだ」
「えへへー、皆さんに会いたくて来ちゃいましたー」
にっこり笑うと、皆さんは頭をガシガシとなでてくれた。
ちょっと乱暴で、お酒臭かったけど。
なかなか素敵な方たちだ。
隣で先輩は「ほだされやがって」、とかため息をついていたけれど
口元が笑っていたから、きっと怒ってはいない。
「おーい、年越し蕎麦大盛りがいい奴ー……
って葉月嬢がいるじゃねぇか!」
「佐助君じゃーん!」
東雲家厨房担当、佐助(さすけ)君。
包丁さばきが殺人級で、調理専門学校に通う20歳。
私の事を葉月嬢と呼ぶお兄ちゃんのような人だ。
「葉月嬢の分が追加でー、大盛りの奴手あげろー」
大多数の手が挙がる。
意外にも東雲先輩と琥珀さんが手を挙げている。
まぁ私も挙げてるけど。

