「おじゃまします。あ、先輩これどうぞ」
「甘酒か。おい琥珀、あっためてやれ。このちんちくりんに」
「若、女性に向かってその口のきき方は何です。
――――来年若が、女に全くもてなくなりますように」
若、ひいては東雲紅我(しののめ こうが)先輩は、
私の通う橘樹学園(たちばながくえん)の2年であり、
この日本でも最大規模の極道・東雲組の若頭だ。
そしてこの口の悪い笑顔のお兄さんは、
東雲先輩の側近、榊琥珀(さかき こはく)さん。
二人ともびっくりするほどの美形だ。
「おー嬢ちゃんじゃねぇか」
「大晦日を極道で過ごす女かー、すげぇよなぁ」
「若もいい子捕まえましたね」
組の皆さんが集まっているという大広間に案内されると
皆さんは私を笑顔で迎えてくれる。
ちょっとしたジョークとともに。

