ふと、思った。
来年は、どうだろうか。
もしかしたら先輩は大学受験で躍起になっているのかもしれない。
もしかしたら私は藤原家に戻っているかもしれない。
もしかしたら、先輩は遠い所に行ってしまうかもしれない――――。
「先輩」
「あ?」
「来年も、こうやって過ごせるといいですね」
「……そうだな」
先輩は、静かに立ち上がって空を見上げていた。
その美しいかんばせに、まるで脇役のように月が寄り添っている
ように見えた。
やはりあなたは、
神がかった、美しい、芸術的なひと。
「来年も、先輩といたいです」
にっこり笑って言えば、先輩がうわごとのように「そうだな」と呟いていた。
Happy New Year!!

