9月28日。
もう10月になりそうだというのにまるで真夏のような暑さ。鳴り止まない蝉の声にユリは顔をしかめた。
(1週間の命じゃなかったの?絶対3週間は生きてるでしよ。)
詐欺だ詐欺だ。と言いながら校舎に向かって進んで行く。

増野 百合 (ますの ゆり)。今日からこの欄華私立高校に通うことになった。
季節外れの転校生…今の私にはピッタリかもしれない。
(でも、こういうのって少女漫画だと可愛い主人公が、季節外れの転校生やるんだよなー。)

前言撤回。ピッタリじゃない。私にはズレズレだ。

校舎に近づくと職員玄関と生徒玄関が二つならんであった。どっちに行こうか迷ったがそれはここの先生に聞けばいい。ユリは職員玄関に向かった。

新しい学校。
新しい先生。
新しい制服。
そして、新しい仲間。とても楽しみだ。

なんて。そんな事はない。あり得ない。楽しいとか面白いとかとっくに捨てた。自分で言っててバカバカしくなってしまった。
ユリは暑さで重くなった足を引きずりながら思った。

めんどくさい。