「や、やだっ!」

私は誠を振り払った。

「な、何してんのよ・・・」

私の体は自分でも分かるくらい震えていた。

「ねぇ・・・」

「・・・」

誠はなんにも言わない。

「何か言いなさいよっ!」

なんで何も言ってくれないの?
なんであんな事するの?

「か、からかうのもいい加減にしてよっ!」

私は急いでその場を離れた。
や、やだ・・・。
誠が私にあんな事・・・。
怖い。
痛い。
苦しい。
辛い。
さっきの感情がでてきて涙が出てきた。

「ぅ、うぅ・・・っ」

その場にしゃがみこんだ。
なんであんな事したのよ。
誠・・・。

「梨々香?」

誰かに腕を掴まれた。

「きゃっ」

そこには目を見開いて驚きを隠せない宏貴くんの姿があった。

「ど、どうした?何かあったか?」

宏貴くんの優しさに涙が溢れてくる。

「ぅ・・・ふぇ・・・んぅ」

その姿を見た宏貴くんが私を抱き寄せた。

「こ、宏貴くん?」

「いいよ。泣き顔見ないから・・・
気がすむまで泣いていいよ・・・」

「ごめんね、ごめん・・・ぅ、んぅ」

涙が止まらない。
誠の強引なキスと宏貴くん優しさがごちゃごちゃに混ぜ合わさって涙が止まらない。

「俺ならこんな悲しい思いさせないのに・・・」

宏貴くんが呟いた。

「え?」

「いや、何でもないよ。」

「そ、そっか・・・・・・」

ただ宏貴くんの優しさに甘える私がいた。