僕は本皮張りのソファに深く腰を掛けた。
その途端、煩かった周りは静かになる。
水を浴びせられた気分だ。
「よぉ、久しぶりだなぁ、司」
「うん、そうだね」
僕は無意識に足を組んでいた。
コドモが住むにしては、大きすぎるマンションのリビング。
ここに居るコドモたちが、どうやってその資金を手に入れているのか、僕は知っている。
いいところ、強盗か恐喝だろう。
「いいよみんな、気にしないで」
こういう静かな雰囲気は嫌いだ。
そう言うと、静まった空間は、徐々に煩さを取り戻していった。
「で、最近はどうなの?レイジ」
レイジと呼ばれた男は僕に1番近いソファに座り込んだ。
金色と言うか、すでに白に近いその髪色が、彼の人柄を感じさせる。
「俺ぁまず、司の今までについて聞きたいんだけどな。それはあとか」
「僕はなにも喋らないけど?」
「そうだよなぁ。お前は口が堅い男だ」
ボトルのワインを注ぐレイジはまだ僕と同い年。
まったく、どうやって手に入れたんだか。

