「で、今日はどうした?」
そうだ。本題に入ろう。
「僕は疑問だらけなんだけど。大体、僕でもまだ分かってないし。何で僕なの?」
実は、この“京極家次期当主”は、僕に確定したわけじゃない。
僕がまだそれを拒んでいるから。
「お前ぇよう、そりゃ何回も言ったじゃないか」
「無理矢理こんなところ連れ込んでくるから、僕もペース崩れたんじゃん」
「弱っちいなあ」
辰巳さんを睨む。
彼はけらけらと笑うだけだった。
「この家は、僕の生活よりも真面目すぎる。やくざ一家なのに」
「そりゃあ、俺は正義と秩序を重んじるからな」
よく言うよ、自分では手出ししなくなったけど、殺しだって簡単にやる奴が、なにが“正義”だよ。
僕はつい笑いたくなった。
「調子狂う。弥刀ちゃんは弥刀ちゃんで素直すぎるし、甚三だってお母さん気質。辰巳さんだって兄貴風じゃないし」
「おいおい。俺は兄貴風吹いてるだろー」
「もう、弥刀ちゃんでいいじゃない。僕に京極の血は流れてない訳だし。一件落着」
「そうは言ってもなぁ、司ぁ。弥刀は女だ。俺にはそんな判断できんよ」
「じゃあ、僕じゃない他の誰かが代役をすればいいじゃない。僕には向いてないし、かなり面倒。ここはやる気の弥刀ちゃんの方がいいんじゃない?強いらしいし」
うーんと辰巳さんは頭を抱える。
大体、僕を引き連れてきたあの場面は、異様だった。
それほどまで思い詰めているのなら。

