体育館やいつも使っている廊下を見まわっても、部員達の姿はどこにも見当たらない。
本当、どこに行っちゃったんだろう。活動はしてる筈なのに。
「弥刀!」
後ろから声がした。
振り向くと、窓から覗くごっつ。
顔は汗だらけだった。
「弥刀っち、今日はボクシング部デイじゃないの?」
「いや、まぁ…そのつもりだったけど、みんな居ないし」
ごっつは明るく笑った。
その顔から疲労が見えないこともない。
「…なんでそんな汗だくで外に居るの?みんなは?」
「今日は、ランニングにした!」
「ランニング?」
「そ。なんかさ、神谷が来てからみんな意気消沈しちまってよ。こりゃ練習どころじゃねぇなって思ってランニングにしたわけ!!とにかく、今は基礎体力だな!」
明るくブイサインを作ってみせるごっつ。
「ごっつは?意気消沈してんの?」
「俺がするわけないだろ!!あいつ倒さねぇと、大会にでも勝てる訳がないじゃん??寧ろ燃える!!」
思わず笑ってしまった。
よかった、ごっつはごっつだ。さすが部長。
腐っても根性はあるって訳だ。
「でも、みんなは違うんでしょ?特にみっきー君とかむっさんとか打たれ弱いじゃん」
「いや、その2人は弱いからこそ、負けることに対しての根性があるんだよ。プライドが高い奴程、負けるとかなり落ち込む。だから今の斉藤とマコトには喋りかけない方がいい」
納得してしまう。
説得力があるなぁ。

