「っ、」
胸ポケットで震える携帯に驚いて、あたしは飛び起きた。
その反動で神谷も薄目が開いた。
携帯を開くと、5時をさしている。
もう、こんな時間だ。
「ふふ」
あたしが胸ポケットで震えた携帯にびっくりしていたのを、笑っているのだろう。
「かみ…司、調子はどうだ?」
上体を起こす。
司はベッドの上で、起きたくないとばかりにごろごろしている。
「残念だけど、治っちゃったみたい」
「薬が効いたみたいだな」
あたしは司の腕から抜け出して、置いてある体温計を手に取って、司に渡す。
まだ外は暗い。夜みたいだ。
慣れない環境にあたしもうだうだしていると、後ろで体温計の音がする。
「36度とちょっと」
「熱は下がったな」
司も体を起こした。大分楽になったみたいだ。
ふと携帯に目を落とすと、不在着信のランプが点灯している。甚三だ。
少し前に着信が入っている。あたしは急いでかけ直した。

