「…観念した?」
「ふざけるんじゃないわよ、あんたが寝たの見計らって出てく」
「まぁ、いいよ。僕が寝るまでここに居て」
ぐ、と腕に力が入って更に引き寄せられた。
神谷の甘い匂いが鼻を擽る。
神谷の体温が高くて、こっちまで熱を出した気分だ。
頭が匂いと熱で酔いそうだった。
本当ならば、このライバルが弱っているうちに、鍛えたい所だったのに。
あたしの頭に神谷の顎が乗る。
「…重い」
「弥刀ちゃん、小さい」
神谷があたしの髪の匂いを嗅ぐ。
「嗅ぐな!!馬鹿!!」
神谷の足を蹴ると、そいつは黙った。
変な気分だ、こいつと同じ布団で寝ているなんて。
あたしもとんだ尻軽女だ。
まぁいい。こいつが寝るまでの辛抱だ。
強く抱き締められて息苦しく感じ、目が覚める。
起き上がろうとしたら、体が動かなかった。
目をぱっちり開けると、目の前には男の体。
一瞬で今までの出来事を思い出した。
そうだ、あたしは神谷と一緒に寝ていたんだ。

