「やだなぁ、休むの…」
「でも、お嬢」
「わかってるよー、うつすくらいなら休むけど」

皆勤賞狙ってたんだけどな、と心の中で呟いた。
小学校も中学校も、打たれ弱かったあたしには学校を休まないことは不可能だったわけで。
環境が変わった高校でなら、しっかり毎日出席できると思ってたのに。

「じゃあ、電話してきます」
「いやいやいやいや、いいよ!!あたしがする。全力でやめて!!」
「そうっすか…?無理しない方がいいですよ。俺が」
「まじで!!本気で大丈夫!!電話くらい自分でできる!!お願い!電話とってきて下さい!」

あたしは布団から身を乗り出して、全力で甚三を説得した。

この声だ。この声を聞いて一瞬で堅気ではないことに気付くであろう。
更に甚三が言葉を間違えようものなら、学校側が警察に通報する可能性もある。
全力であたしはそれを止めた。


数分して、電話を渋々持ってきた甚三からそれを奪い、きちんと連絡をして学校を休んだ。


甚三はお粥を作って持ってきてくれて、つくづく甚三の優しさとありがたみに感謝を感じた。
母、賀奈子は料理なんてしようものなら人1人死ぬ。
あたしにとってのお袋の味は甚三なのだ。


お粥を食べ終わって、一息ついたとき、あたしは昨日まで整理のつかなかった頭を、また回転させた。