ここで止まると、この暴走車はあたしにぶつかる。

全力で漕げば、なんとか後輪だけ犠牲にしてでも間に合うだろうか。
それくらいのレベル。

漕ぐしかない、信号無視かクソ!とか考えている瞬間に、あたしの体は激痛と共に無重力に晒されていた。


ほんとに、一瞬のことだった。
ええ、嘘でしょ。


今までに感じたことが無い衝撃と、全身を支配する、激痛、激痛、激痛。

ものすごい力で全身を空中に引っ張られているみたいだ。
息ができない。

もしかして、これが死ぬって感覚なのかな。
心臓が止まったような気がした。