「今はそんな面だけどよぉ、割とキレーな顔してんじゃんよぉ」

顎を掴まれる。変な角度で、首が折れそうだった。

「は、っなせええ!!」
「おぶっ」

足を振り上げて、そいつの顎にヒットした。
その隙を見て、急いで逃げようとする。

「待て」

振り上げた足をそのまま、掴まれた。

「おい、ジロウ!!お前こっち入れ!!」
「は、なせ!!はなせ!!」

そいつが“ジロウ”と呼ぶと、すぐに茶髪男が入ってきた。

「何すか、シンヤさん。俺、あっちのがタイプだったんすけど」
「ごちゃごちゃ言うな、アホが。こいつなっかなか凶暴でよぉ」

会話であたしはやっと気付いた。
ぞくり、と急に怖くなった。
まさか。

「実は初めてな感じ?」

シンヤと呼ばれた白スーツは笑顔をあたしに見せた。
その笑顔が、あたしの頭の中を張り付いて、自然と恐怖という感情が誇張している。

「っ!なにすんだ、やめろ!!おい!!」

白スーツがあたしの足を掴んだまま、“ジロウ”と呼ばれた茶髪がセーラー服のリボンを解いた。

あたしは手当たり次第に体にさわるものを殴っていく。
そのうちの1発が奇跡的に当った。
どうやら茶髪の鼻だったらしい。

「このクソアマ」

鼻を押さえた茶髪は、あたしの右腕を踏みつけた。
みち、と嫌な音がする。

「うっ、あああああああああああ!!!」

畳の柔らかさに甘えて、あたしの腕は床に陥没していく。
激痛。
もう少しで折れる、というところでその圧力は止められた。

「大人しくしてりゃいいんだよ」

うつ伏せにされて、ブチブチと制服の襟の部分が取られる。
待って、待って。まずい、どうしよう。

両腕を踏みつけられて、白スーツがあたしのスカートを一気に下ろした。

「や、め!!」

しゃべると、すぐに意識が飛ぶくらい殴られた。

そして、何よりも痛いのは腕だった。
男に乗られている上に、小指の爪に手をかけている。

「お前、ほどほどにしとけよ」
「わかってますって。シンヤさんも」

ずくりと爪に激痛が走った。

「っ、ああああああああああああ!!!、や、めろ!!やめろ!!っ、」

爪が剥がされる感覚だった。
まだ剥がれてはいない。ぎりぎりと、力を込められている。
それでも、今にも肉と離れそうなそれは、充分な激痛だ。

ぬるりと太ももに生暖かい感触がする。
舐められているような。
そう考えると、吐き気がして、鳥肌が立った。

下着に手をかけられた時だった。

バン、と勢いよく窓の開く音がした。