と、そこで出口のほうから騒音がした。
人の喋り声。
「…きたか」
男はうずくまったままのあたしを置いて、ソファに座り込んだ。
あたしは出口の方を見やる。
扉が開く。
10人ほどの男女が部屋に入ってきた。
男女で、若干男の割合が高いくらいだ。
皆あたしを一瞥して、金髪の近くに集まっていく。
冷たい視線が浴びせられた。
あたしと同じくらいの年齢の、若い子達。
だけど直感的にわかった。
きっと、学校とかを“途中脱退”したような子だ。
あたしは腕を使って、体を起こした。
全身が熱を持って、思うように動かない。
逃げる、という考えはとうに捨てた。
うまく走れる自信もない。
「…あ、おまえ!!」
あたしはその大勢の中で、今朝コンビニで襲われた男を見つけた。
男はあたしを一瞥だけして、そのまま正面を向いてしまった。
くそ、涼しい顔しやがって。あいつの1発のせいでこんな目にあったというのに。
「…ここは何なの?暴走族かなにか?」
とにかく、聞きたいことを聞いてみた。
これだけの人数がいるし、1つの組織であってもおかしくはない。
あたしはこのままリンチされるんだろうか。死んだらどうしよう。
きっと聞いても答えないはずだ、あの男は。
金髪は顎に手をやり、考えたようなそぶりを見せて、すぐに口を開いた。
「…ここはそういう、めんどくせぇ組織じゃねぇよ。ただ、仲のいい奴らが集まっただけ。ただ、俺らにはルールがある」
「…ルール?」
「干渉しない・報復」
短すぎて、一瞬頭に入ってこなかった。
今こいつは、なんと言ったのだろうか。
干渉しない・報復?
報復ってなんだ?

