ぞわり、と背筋に走る寒気で目が覚めた。
目を開く。
視界がちかちかしていて、あまり見えない。
そして、自分が冷たい床に寝かされていた事に気付く。
ばっと体を起こした。
すぐに、強い力で引っ張られたような力が襲って、あたしはまた床に寝そべった。
引っ張られた方向、自分の背中のほうをちらりと見てみる。
手がビニールテープで後ろに縛られている。
そして、真後ろの扉のドアノブにくくりつけられていた。
まるで連想するのは、買い物をする主人を待つ犬の気分だ。
胸くそ悪い。
「くっそぉ、あたしとしたことが」
あそこで倒れなきゃ、あいつにもう1発お見舞いできたのに。
とりあえず、足は拘束されていないみたい。
あたしは立ち上がった。
どうやってこのビニールテープから逃れるか。
ドアノブに縛り付けてあるであろうテープを、後ろ手で探ってみる。
が、さっぱりどうなっているのか分からない。
無理やりちぎろうとしても、テープは伸びて腕に食い込むだけだ。
と、そこでドアが勢いよく開いた。
目の前で立っていたあたしはそのまま板に押されたわけで。
「ぎゃっ?!」
思いっきり背中を扉に打ち付ける。
バランスを崩して、ぶら下がる形になった。
紐が食い込んで痛くて仕方ない。
「…あ、あーあぁ、悪り、忘れてた」
あたしは声がした方を睨み付ける。
さっきの男ではなかった。
これまたあたしと同じような年の、金髪の男。
ぱっと見、どこかでうろついてそうな不良少年って感じだ。
「…てめぇ、誰だ。どこの組だ」
あたしが聞くと、そいつは目を丸くした。
「うっわ、こんな可愛い顔してまじな奴かよ、お前。俺初めて見たわ」
「はぁ?」
待て、まじな奴って?
まさかこいつら、本当にただの不良少年。
組とか関係なく?

