結愛(ゆあ)も結愛で男子と話すのが苦手だったが、


なぜか、ほっとするというか…。


話しやすいと思う、唯一の存在だった。




「結愛、消しゴム貸して」


「数学どのへん出ると思う?」




低いやさしいトーンで話す領平。



そんなとりとめのない会話も結愛には楽しかった。


友達にも言えなかったけれど、密かにずっと好きだった。






席が離れても領平はちょくちょく話しかけてくれたし、

教室や廊下で目があったりすると、にこって笑んでくれた。




中学3年になり、また同じクラスになれた時は本当にうれしかった。


修学旅行や体育祭などの行事も一緒にできる、


それに3年生で同じクラスなら同窓会とかで、また会うことができると…。




けれど1カ月もしないうちに領平は転校した。