by夏春
私は気がつけば、何処かのソファーに座らされていた。
目の前には、龍と淳。あとは柄の悪い奴ら…
そして、手足を縛られてる私。
龍「起きたか?」
「ここどこ?」
淳「俺らの倉庫。」
「倉庫?」
龍「淳、いらんことは喋るな!」
淳「はいはい。」
「でさ、私、何でこの状態なの?」
龍「お前にはここの姫になってもらう。」
「姫〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
龍「ああ。」
「嫌!嫌!絶対いや!私帰る」
龍「お前に拒否権はない。姫になったら俺の女にもなる。」
「やだやだやだやだ!!!私はちゃんと好きな人と付き合いたいもん。」
龍「その好きな奴とはもう会えない。
お前は、ずっと俺と一緒だ。」
その言葉を聞いた途端、流したくない涙が流れてきた。
淳「何?嬉しくて泣いてるの?夏春ちゃん。」
「!!!何で、名前知ってるの!」
淳「俺らの部下に調べてもらったんだ。あと、夏春ちゃんの友達や、好きな人の事もね。」
「!!!!!!!そんな人…居ない…」
淳「無駄だよ?空だったっけー。カッコイイ顔してるよねー。性格とか、1番、龍が嫌いなタイプな奴だよねー。」
私はそれきり、何も言えなくなってしまった。
龍「俺の女になるか。」
「…」
龍「答えろ。」
「この縄…外してくれたら答える」
龍「んなの、出来るわけないだろ!」
淳「いいんじゃない?もし夏春ちゃんが襲いかかってきても、俺らの強さを教えるチャンスじゃん。」
パラッ。
淳が言った瞬間、私の自由を奪っていた縄がハラリと落ちて行った。
私は反射的に戦える体制をとってしまった。
それに気づいた、下っ端ぽい人達が襲いかかってきた。
そいつらを、綺麗に投げて行く。
投げても投げても。減らない相手。
ニヤニヤと近づいてくる…
怖い…久しぶりに思った感情…
こんな時、未来の私に聞きたいよ。
この場をどうして切り開いたのか?
未来の私はこいつらと一緒なのか?
いっぱい聞きたし。助けてもらいたい。
でも、これを分かってたから、夏春さんはしばらく私から姿を消したのかな?
どんどん近づいてくる龍。
隙を見つけては、投げようとするがあっけなく交わされる。
ジリジリと近づいてくる距離。
助けて…心から、あの人…空を読んだ。
テレビや少女漫画ならここで助けて来てくれるのに…
だんだんと近づく。壁。
ドンッと背中が大きくぶつかる。
次の瞬間。
私の唇に生暖かい物が触れた。
「んっ……」
おもわず、目を大きく開く。
「…いや………んっ、はな…し…て」
喋ると、喋るな。っと言われてるように強くなるキス。
目の前には、龍の顔。
涙がポロポロと流れてゆく。
空…お願い。助けて…よ…
「んっ…はぁ!!!はぁ……はぁ。」
やっと離れた龍の唇。
自分でも分かるくらいに震えてる私…
肩で呼吸をしている私を見て、ぷっ!と笑う龍。
龍の顔を見るだけで恐怖が引き起こる。
「てめー。初めてか?」
フリフリと首を横に降る。
ファーストキスは、空だった。
柔道の練習中、バランスを崩し、倒れた私の上に空が落ち、見事に唇が触れた。
今でもあの瞬間はたまに思い出す…
嫌な思いででもない。
龍「じゃ、処女か?」
この一言で私は顔に熱を帯びてゆく。
龍「ふはっ!分かりやす!」
龍は私の顎を食いっと持ち上げ、
龍「俺がお前の初めてを奪ってやる」
私は龍をにらめつけながら、
「あんたなんか、お断り!!絶対嫌!」
龍は顔色一つ変えず、
ゴンッ!!
鈍い音が部屋いっぱいに響く…
私は、龍に頬を殴られた。
口内が血の味でいっぱいになる。
「嫌じゃ、ねぇ。お前は俺の女だ。」
龍はそういい。私を持ち上げ、
部屋を出て歩きだした。

